WITH



「それで……廉とは、ちゃんと話せた?」


「……逃げてきちゃった」



シャンパンの入ったグラスをクルクルと回しながら自嘲的な笑みを漏らすと、啓祐の口からは盛大な溜め息が吐き出された。


だから。
律の計らいで今度会うことや、ちゃんと思いを伝えるつもりでいることをすべて話した。



「頑張ってね、紗和!!
紗和も、ちゃんと幸せにならなきゃ」



微かに涙ぐみながらも、笑ってそう言ってくれたなっちゃん。


いつも支えてくれていた啓祐にも。


もう一度“ありがとう”を告げて、私は店を後にした。



< 140 / 350 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop