WITH
すぐに手元に返されたソレには、晴哉の番号とアドレス。
もちろん、晴哉の手にする彼のものであろう携帯にも、私の番号とアドレスが移されてしまったらしい。
「今日は、これくらいで我慢しとく……」
そう言って、隙だらけの私に一瞬のうちに影を落とし距離を詰めたあとには、触れ合った唇。
「―――っ!!?」
晴哉の胸を押して跳ね除ければ、滲みそうになる視界。
キッと睨み付ければ困ったように、それでも幾分かは楽しそうにしている晴哉を相手にしないことにして、私はまた歩き出した。
背後から、「連絡するからっ!」と声が聞こえたけれど、私は振り返ることなく歩き続けた。