WITH
バス停に着き、携帯で時間を確認しながら時刻表を見ていると、
背後でクラクションが鳴らされるのが聞こえて。
何気なく振り向くと、ハザードを点滅させ停車する黒のコンパクトカー。
「………!!?」
「お疲れ。帰るんなら、送って行こうか?」
助手席の窓を開け、運転席から顔を覗かせたのは啓祐で。
「啓祐、……何してるの?」
「仕事の帰りに決まってるでしょ」
ラッキーとばかりに助手席に乗り込んだ私の言葉に、クスクスと笑いながら答えた啓祐は、スーツを着ていて見慣れない姿。
「そういえば、そうか……」
大きく息を吐いてシートに深く凭れると、車は動きだした。