WITH


引き継ぎを済ませ、仕事を終えて職場である施設を出た頃には、11時前という時刻を表示する携帯の画面には、メールも着信もなくて。


律がメールしておくって言ってたのになぁー…と思いながら、いつも通りにバス停へと続く道を歩き始める。


通り過ぎる家屋の窓際に置かれたキラキラと光るクリスマスツリーが見えて、今日がクリスマスであることを改めて感じて……ふと思った。



(クリスマスの日に、廉は私なんかと会っていていいの?)



嫌でも思い出すのは、高校生の時の可愛らしい蜜華さん。


7年の歳月は、当たり前に考えて彼女を大人にしているはずなのに、今の蜜華さんを知らない私には、高校1年生の彼女しか頭に描けない。


胸がズキンと痛むのを感じながらも、それを振り払うために仕事の疲れを体に思い出させた。


余計なことは、何も考えない。


廉に、私の気持ちを……
今までの思いを……すべて伝えるために。


今日は、泣かないで廉と話そうと決めているから。



< 150 / 350 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop