WITH


終話ボタンを押して、壁に掛けられた時計に目をやれば、午後4時半を過ぎた頃。


カーテンを閉めていない窓からは、雲の隙間から陽が落ち始めるのが見え、灰色の雲がオレンジ色をぼんやりと滲ませていた。


その時、タイミング良く手の中で震え出した携帯に肩をビクつかせ、視線を落とすと律からの着信だった。



『あ、律だけど。姉貴、起きてた?』


「少し前に起きた。わざわざごめんね?」



電話の向こう側では、横断歩道を渡る時の音楽や車のエンジン音、クラクションなどの雑踏が聞こえる。


恐らく、営業……とやらの途中で、歩きながら電話してくれているのかもしれない。



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