WITH


* * * * *


見上げる先には、何度も見たことのあるシティホテル。


キレイな外装のホテルは上品さが漂っていて、一流ホテルと言われるだけはある。


時刻は、午後7時50分。


クリスマスの日なだけあって、カップルが腕を組んで入っていくのを何度も見送っている私は、端から見たら、寂しい女か怪しい女のどちらかだと思われるかもしれない。


そうは思っても、いざ廉に会うんだと思うと足がすくんでしまう。


ようやくホテルに入れたのは5分後で、エレベーターに乗り込んだ時には溜め息を吐いてしまった。


廉に会う前からこんななのに、廉に会ったらどうなるんだろう……


そんな私に、チン……と音が響いて18階に着いたことを報せてくれた。



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