WITH
シートに埋もれてぼんやりと窓の外を眺めると、薄青と濃紺が微妙な色合いを描きながら、空を闇へと変貌させようとしていた。
「紗和が真っ直ぐ帰るなんて、
珍しいね?」
煙草独特の匂いが香る中、
優しい啓祐の声が聞こえた。
「最近、男にも会ってませんからねー…?」
窓の外から視線を移すことなく、フフッと薄く笑いながら答える私に
「へぇー…急成長だ」って、自分のことのように嬉しそうな顔をする啓祐。
「ハイハイ……」
言い返したい気持ちはあるものの、疲れすぎて言い返す気力もない。