WITH
“蜜華にバレないように……”
その言葉は、廉が蜜華さんを愛しているからこそ言った言葉のように思えた。
廉は、私と会うことを蜜華さんに知られないようにするために、誰にも見られないであろうホテルの一室で会っている。
私が廉と会うことを晴哉に知られたくないと思った理由とは、明らかに違うということ……
「ここに来る前、あの公園に行ってきたの……」
「はっ……?」
突然、呟くように話し始めた私に、廉は驚いた顔を向けた。
高校時代、二人でよく行ったタンポポの咲き誇るあの公園―――
真冬の今、花が咲いているはずもなく。
冬の寒々しさが広がるばかりの公園は、廉を失ってポッカリ穴の開いた私の心のように冷たい風が吹き荒んでいた。