WITH
「私、廉と別れてから7年間ずっと、廉のことを忘れなきゃいけないと思ってたの」
「忘れ、る……?」
コクリと頷きながら膝の上に置いた両手に目をやれば、小刻みに動く指先が視界に入る。
それをギュッと握り締めて……
無意識に震えていたらしい指先を押さえつけた。
「廉を忘れることが、廉への恋心を失くす方法だと思ってた。
だから……」
顔を上げて見つめた廉は戸惑った表情を浮かべているけれど、今は聞いていて……?
「私は好きでもない男に抱かれることで、私の中にいる廉の存在を消そうとしていたの。何度も何度も……数えきれないくらい。
一人でいたら廉のことばかり考えて、蜜華さんに嫉妬してしまうし……
だから、名前も知らない廉じゃない人達に抱かれてきたのに……全然、廉が消えてくれなくて……
今も、廉が好きなの―――」