WITH
「連絡先、教えとくから……」
クリスマスの日。
ベッドの中、廉に腕枕をされた状態でそう言われて。
戸惑ったわたしがすぐそこにある廉の顔を見上げれば、何?という感じで見返されてしまった。
「だって……」
“蜜華さん、いるでしょう?”
なんて、今この状況で口にしたくはなくて口ごもってしまう私。
「あー…、何も心配しなくても大丈夫だって。それに、放っておいて他の男で寂しさを埋められても困るし♪」
「もう、しない……」
体ごと顔を背けてそう言えば、けらけら笑いながら背後から抱きすくめられる。
「ならいいけどさ?
寂しい時でも一人でいたくない時でも……いつでも連絡していいから。だから、紗和の連絡先も教えとけ?」
「……ん」
そんなやり取りの後に渡された、廉の仕事用の名刺と赤外線通信で交換されて増えた“谷口廉”のメモリーが、今、私を悩ませているものだった。