WITH
「なん、で……いるの?」
左手には携帯を握って耳にあてたまま、ポカンと口を開けて呆然と廉を見上げて呟けば、
「お利口さんじゃん?」
私の質問には答えずけらけらと笑う廉が、私と同じく携帯を片手に握り空いた方の手で私の頭をクシャクシャと撫でた。
「あのー…、とりあえず家ん中入りたいんですけど……」
廉の背後から聞こえた、遠慮がちな律の声に視線を向けると、未だ苦笑している律が目に入った。
「あ、おかえり……」
「ただいま、姉貴♪」
廉の横をすり抜けて部屋に入った律は、「先輩も早く上がってください!」と廉を促している。
「えー…っと、どうぞ?」
ようやく携帯を切り、玄関に突っ立っている廉を部屋へと招き入れた。