WITH
「お疲れさまです……?」
頭を軽く下げたあと、
見上げて笑みを向けて労いの言葉を口にすると。
「ん、ありがと……」
穏やかな笑みを浮かべて答えた啓祐と目が合って、
暫くの間、お互いクスクスと笑い合ってしまっていた。
……その後。
無事にマンションの前に着いた頃には、空は完全に闇に呑まれ、いくつか星が煌めき始めていた。
「ありがと。
気を付けて帰ってね?」
車を降り、開いた助手席の窓から見える啓祐へ手を振ると
「あー…、うん。大丈夫。
それより……、」
笑って答えていた啓祐が途中で言い淀んで……
両手で握っていたハンドルの上に、顔を伏せてしまった。