WITH
カチャリ……と無機質な音をたててドアを閉め部屋に戻ると、水音が聞こえて律がシャワーを浴びていることを知った。
ソファーに深く座り込んでキレイに片付けられたテーブルを眺めていると、静寂に呑み込まれて寂しさに溺れそうになってしまう。
ついさっきまで、ここに廉がいたことが嘘のように感じられてしまって、今この瞬間が夢なのか現実なのか……わからなくなる。
わからなくなるというよりは、考えたくないのかもしれないけど……
「……姉貴?戻ってたんだ……」
「――律……」
寂しさに呑まれかけた私を引き戻したのは、シャワーを浴び終えてタオルで頭を拭きながら缶ビールを手にした律だった。