WITH
自分で言いながらズキズキと痛む胸に、気付かないフリをする。
そんな私を見てフッと口の端を上げて笑った律は、空っぽになったらしい缶ビールをテーブルに置いた。
「まぁ……許されることじゃないとは思うけどさ?
姉貴が笑ってるから、いっかー…なんて思って……」
「私、今まで笑ってなかった?」
優しい微笑を浮かべた律の口から漏らされた言葉に、今までの7年間を思い返す。
―――廉を忘れることばかり、考えていた私。
いろんな男に抱かれても消えない廉への思いでいっぱいの私は、笑う余裕さえも失くしていたの???
「笑ってたけど、心の底から笑ってないっていうか……無理して笑ってる感じ?」
“今は、イイ顔してるよ……”
律が教えてくれた、明らかに見て取れる私の変化。
事実なら……、それは廉が傍にいてくれるからなんだろう。