WITH


* * * * *



「それで、廉とは“不倫関係”だってこと?」


「そんなに、はっきり言わなくても……」



目の前で溜め息を吐いて真剣な目で見据えてくるのは、啓祐。


「たまには飲もうか?」って誘われて、カクテルが美味しいと評判のバーに来て、今に至る。


やっぱり……というか、廉とのことを報告しないわけにはいかなくて、正直に話した結果がこの有り様。



「はっきりも何も、事実でしょ?」



そう言われてしまえば何も言い返せなくて、眉間に皺を寄せてムーッとしていると
「本当、あのバカは……」なんて、珍しく悪態を吐いている啓祐の声が小さく聞こえてくる。



「紗和は、それでいいの?」


「……………」



微かなざわめきはあるものの、静かな店内でははっきりと聞こえるその問いに答えられないまま、両手で握ったグラスのカシスオレンジを口に運んだ。



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