WITH


「はぁー…」と盛大に吐き出される啓祐の溜め息が、私の犯していることの重大さを物語っているような気がするけれど、今更引き返せない。


こんなにも廉を欲していることは事実だし、今はまだ廉の温もりから離れられそうにない。


一度知ってしまった甘い蜜は、忍ぶ恋だとしても簡単には抜け出せないほどに私を溶かしてしまっていた。



「ごめん、ね?私、心配かけてばっかりだよね……」


「本当、その通りだよ」



申し訳なくて……視線を落としてポツリと呟いたら、頬杖をついた啓祐が苦笑していた。



「そういえば、なっちゃんは?」


「あー…、仕事だよ」



話題を変えようと思い付いたのは、今この場にいないなっちゃんのこと。


平日とはいえ、時間は午後10時前。


結婚間近な啓祐が私と飲んでていいのかなと思って聞いたら、なんでもないことのように答えてくれた。



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