WITH


にこにこと機嫌の良さそうな笑みを漏らす晴哉の、必要以上に近いその距離に肩を落とすほどに溜め息を吐いていると、
「紗和、誰?」啓祐の声が聞こえた。



「あー…、うん……」



チラリと目線だけを晴哉に向けて、すぐにテーブルに視線を戻した。


なんと説明していいものか……


まさか、“一度寝た男”だとは答えられるはずがなくて、言葉を探していると



「どーも。晴哉って言います。
紗和ちゃんとは、んー…そうだなぁ……彼氏立候補中の関係だよね♪」



“体の関係”と言わなかったあたりは褒めてあげたいけれど、それでも目の前にいる啓祐の頬がピクピクとひきつっているのは……正直、いただけない。


さっきまでの穏やかな雰囲気なんて、晴哉の登場で一変してしまって気まずい空気が流れていることに、元凶のコイツは気付いているんだろうか?



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