WITH
「それで……、何か用?」
僅かな沈黙のあと、大人の余裕を感じさせるような柔らかな笑みを浮かべた啓祐が、晴哉を見つめ穏やかな声で問い掛けていた。
そんな啓祐に臆することなく、にっと笑いながら真っ直ぐに見返している晴哉。
「別に……あんたに用はないですけど?紗和ちゃんには、あるけどね♪てかさ……もしかして、あんたが“廉”?」
さっきまで笑っていたはずの晴哉の表情は、“廉”という言葉を発した時には真剣なものに掏り替わっていて。
私と啓祐は、息を呑んでいた―――
「……だったら、何?」
数秒の後、挑発するかのようにそう言い放つ啓祐に私は目を見張るけれど、そんなのお構い無しで二人の会話は続いていく。