WITH
走って走って……
繁華街を抜けてすぐの駅前のロータリーに辿り着いた頃、ようやく立ち止まり握られていた手首も離された。
冬とはいえ、全速力で走らされた私は息も絶え絶え……整えることで精一杯なのに、顔色ひとつ変えず呼吸も乱していない晴哉は、相変わらず楽しくもないのに楽しげな笑みを浮かべて私を見下ろしていた。
「何……してんのよ……?」
落ち着かない呼吸のままでも問い掛けたのは、突拍子もない晴哉の行動に納得いくはずがないから。
「別にいーじゃん?
オレだって、紗和ちゃんにずっと会いたかったし……独り占めしたいもん」
拗ねたような表情で、視線を逸らして可愛らしい言い方したって……
「こんなことしたって!!……意味ないでしょう?
それに……彼は“廉”じゃない」
「……はぁっ!?」