WITH
「ちょっ…と!!離してよっ!?」
「イヤだ……」
手を突っ張って晴哉の胸を押してもビクともしない上、更に強く抱き締められて益々身動き出来なくなる。
「……一目惚れ、だったんだ」
「え……?」
「あの日、紗和ちゃんに声を掛けたのは、遊びでじゃない。
今にも泣きそうな顔で無理して笑って、それがまた切なげで……キレイだと思ったんだ」
初めて聞く苦しそうな声音で語られる晴哉の思いに、腕の中から抜け出すことも忘れていた。
「遊びで抱いたつもりはないよ?その日のうちに抱いちゃって、どうしていいかわかんなくなって軽い喋り方で誤魔化したりしちゃったけど……
やっぱりオレは、紗和ちゃんじゃなきゃイヤだ!!」