WITH
「オレじゃ……ダメなの?
オレじゃ“廉”には敵わない……?」
ギュウッと抱き締める腕の強さが、晴哉の思いの強さを表しているように感じられて……胸がズキンと痛んだ。
こんな時でも、私が思い浮かべてしまうのは廉で……
抱き締める腕の強さや温もりが落ち着かない。
このまま晴哉を好きになれたらよかったのに……やっぱり私は、廉じゃなきゃダメみたい。
廉との関係が不安定でも認められるものじゃなくても、廉が好きだから……
今、晴哉を受け入れることは、今までと同じ繰り返しになってしまうと思うんだ。
「ごめんなさい……私……」
「紗和っ!!!!!」
顔を上げて口を開いた瞬間、耳に届いたのは愛しい人の声。