WITH
さすがに家に……は、遠慮したためにバス停なのだけれど、人の気配も無くなった深夜の住宅街は静けさに覆われていて、少し怖いくらい。
未だ止まぬ携帯の振動音さえも、響き渡っているかのように耳に届いてしまう。
震えの止まった携帯を眺めて溜め息を吐いた時、
「紗ー和ちゃん、お待たせ♪」
にっと笑った晴哉が、黒いスポーツカーの窓から顔を出していた。
晴哉に会うのは、廉と晴哉が会ってしまったあの晩以来なのに。
気まずさなんてまったく無さそうな晴哉の表情に少しだけ苦笑して、私はコートのポケットに携帯を突っ込んで、助手席に乗り込んだ。