WITH
深呼吸をしながら玄関へと向かい、覗き穴から来客を確認して……
私は慌てて玄関を開けた。
「律っ……!?」
「よっ、姉貴!」
驚く私をよそに、シレッと横をすり抜け部屋に入っていくコイツは、
私の2つ下の弟、霧原律。
私と違い大学卒業後も実家にいる律が、私に会いに来るなんて。
……何事?
「ちょっと、律……
急にどうしたの!?」
律を追いかけて問いかけると、
部屋を見渡している律は
「相変わらず、シンプルすぎな部屋だなー…」と、
呑気に部屋の感想を述べている。
「そんなことは、どうでもいいから……何しに来たの?」
「親父と喧嘩してさー、
追い出されちゃったんだよね」