WITH
「ねぇ、紗和ちゃん……?
そんなに辛い思いしてまで、なんでアイツじゃなきゃダメなの?」
波の音より更に近くで、晴哉の遠慮がちな声が聞こえて……
私でさえ、答えを見つけられていない問題を尋ねられた。
「んー…、なんでだろう……
たぶん、だけどね?実らなかった恋は、私の中にキレイなまま残り続けてると思うんだ。
嬉しいこと・楽しいこと・苦しいこと・悲しいこと……いろいろあったけど、全部“廉”とだから……そんな風に感じられたと思うのね?」
図書室での告白も、廉の部屋で二人っきりで過ごしたことも、脅迫紛いの手紙のことも……そのあと危険な目にあったことも。
廉とだから、乗り越えられたと思うんだ―――