WITH
「……ていうかさ?
そこまで紗和ちゃんに思われてるのに、アイツ何?
普通に奥さんとも上手くやってるとか、同じ男でも信じられないんだけど!!」
「廉が蜜華さんを大切に思っていることは、知ってたから……廉を悪く言わないで?」
怒りを露にする晴哉を、静かに諭して……
晴哉の肩にもたれたまま、夜の海にぼんやりと浮かぶ月を見つめていると……駅で突き飛ばされた日に、部屋で見た月を思い出した。
あの日の月は、傷付いた私と廉を優しく照らしてくれていた。
初めて見た廉の弱々しい姿を上手に支えてあげることも出来ず、ただ抱き締めることしか出来なかった。
何が良くて何がいけなかったのか……わからないけれど、私達に別れは訪れてしまった。
今、もう一度廉に愛されて、私は幸せをもらったから……忘れるのではなく、思い出にかえられたら、と思うんだ。