WITH



「あ?あー…、まだ会社で仕事してるから。紗和の声でも聞かないと、やる気出ねーじゃん?」



“蜜華さんじゃなくて……?”


そう言ってしまいそうになって、慌てて口を押さえて言葉を探すと、電話越しなのに笑顔をつくって話していた。



「まだ、仕事してるんだ?お疲れさま♪」


「ん、サンキュー」



優しい声音に、決心が鈍ってしまいそうになる……


電話を持つ手が震えていることに気付いて、もう一方の手でギュッと震える手を握りしめた。



「ねぇ、廉……?」


「んー…?」


「……今度は、いつ会える?」



きっと……今度が最後になる。



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