WITH
でも、素直に晴哉って言わない方がいいような気がしたから……聞いてくるくらいだから、言ったら怒る……よね?
「……そっか。
じゃあ、な?明日も仕事なんだろ?早く寝ろよ」
「うん、廉も無理しないでね?」
そのまま切られた電話から聞こえる無機質な音が、やけに胸を苦しくさせて。
私は泣くことも出来ないまま、表情を歪ませていた。
ただ、廉が好きなだけなのに……
どうして、廉は結婚してるんだろう?
どうして、蜜華さんを選んだんだろう?
どうして……
廉は、私を好きなんて言ったの?
後悔はしていないつもりなのに、あの時、廉を受け入れていなければ……求めていなければ、今とは違う廉との未来を見られたのかもしれないと思ってしまう。
今となっては、どうにもならないことなのに……