WITH
トクントクン…と廉の鼓動が耳から私の中に入り込んで、それは私の鼓動と重なり合って体中に響き渡る。
心地良いリズムと温もりに目を閉じると、廉の腕に抱かれて……
それは、この上ない幸せなヒトトキ―――
「なんか……、こうしてるだけで幸せかも……」
廉がポツリと呟いたその一言が、やけに感慨深くて……
いつもなら、きっとクスクスと笑い返していたのかもしれない。
だけど、“今日が最後”だと決めている私には、嬉しくもあり悲しい言葉でもあって……ただ、滲みそうになる涙を堪えることしか出来なかった。