WITH
捕まえたタクシーの中、運転手の目も気にせず、私は泣いた。
これで、蜜華さんの望む“うやむやにしない、はっきりとした別れ話”を終えられたんだろうか……
廉に何も話させもしないまま飛び出す形にはなってしまったけれど、廉もわかってくれるよね?
最後に“愛してた…”過去形にしたのは、私を気にせず、蜜華さんとお腹の中にいる赤ちゃんのところへ戻れるように……
私達の関係は、ずっと続けていけるものでもなかった。
きっと、離れる日が早まっただけだと……
そう思えば大丈夫だと考えるのに、次から次へと溢れる涙は止まることを知らなくて。
今だけは、泣いてもいいかな……きっと明日からは、一人の夜も耐えていくから……
廉の前で泣かずに笑っていられたんだから、精一杯の強がりは、廉にバレることなく貫き通せたのだから……だから、今だけ。
涙が枯れるまで、泣かせてください―――