WITH
1日じゃ周りきれないだろうと思われるモール内を、上に下に……右に左に……と、連れ回されること2時間。
ぐったりと疲れ果てた私がカフェのソファーにもたれた時には、初めはにこにこと笑みを浮かべていた晴哉にも、疲労の影が見え隠れしていた。
「紗和ちゃん、何飲む?」
「コーヒー……」
窓際に位置するこの席からは、階下にあるショップや溢れる人々が見下ろせて、私はソファーと壁に体を預けながら、ボーッとそれを見下ろしていた。
そうしている間、注文を済ませた後も晴哉が何も話しかけてこないことを珍しいと思いながらも、疲れきっていた私はあまり気にもせずにいた。