WITH
「出よっか……?」
なんとなく重たい空気のまま、静かに言われて私は頷いていた。
カフェを出てからも、広い建物であるために出口までの道のりも結構あって……
会話も無く、晴哉よりも2〜3歩先を歩いていた私は、1階へのエスカレーターを降りたところで……思いがけない人たちに会ってしまった。
まさか、こんなところで会うなんて思ってもいなかった私は、ゴクリという音を体に響くのを感じながら、息を呑んでいた―――
「紗和ちゃん、どうした……?」
背後から何も知らない晴哉が話し掛けてきて、目の前の人物を視界に入れるなり、
「あんた、“廉”……?なんで、ここに……」
一人言なのか相手に向けて言っているのかもわからないほどの、小さな……でも純粋に驚いている声だった。