WITH
「姉貴、啓祐さんと付き合ってたんだ?
そういえば、いつもよりバッチリメイクしてるし!」
そう言われて律を見上げれば、
ニヤニヤと気持ち悪い笑みが私に向けられていた。
「そんなわけないでしょ?
今日は、同窓会!!
もう行くから、詳しい話は明日ね?」
ハイヒールを履き出て行こうとすると、
「ちょっ、詳しい話って…!?」
「んー…、家賃のこととか?」
何のこと?
……とでも言うように焦った顔をしている律に、立ち止まってしばらく考えたあと。
茶目っ気たっぷりにそう言ってやる。
「……鬼」って、聞こえないつもりで呟いたのかもしれないけど、聞こえてますけど?
「じゃあ、いってきます!」
玄関を閉めて、ちょうど開いていたエレベーターに、私は急いで乗り込んだ。