WITH


私へ視線を向けた晴哉は困ったような表情を浮かべて、「でも……」って涙を気にするから……



「じゃあ“ココ”がいい―――」



コツンと晴哉の胸に、額をくっつけて寄り掛かった。


そんな私の体を、晴哉は弱々しく腕をまわして抱き締めてくれた。



「ねぇ、紗和ちゃん……
コレって、どういうことになるの?」



……僅かに、晴哉の声が震えているような気がして、私は晴哉の背中に腕をまわしながら



「――廉より、晴哉が好きかも……」



そう答えた。


途端にギュウッと抱き締められて……廉じゃなきゃイヤだと思っていたのに、全然イヤじゃない。


ドキドキと胸が高鳴って……
“晴哉が好き”心から、そう思えた―――



< 267 / 350 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop