WITH
嘘の付けない感情
「本当にゴメン……
いくら謝っても足りないとは思うけど……もう紗和を手放したくない。俺と一緒にいてほしい―――」
「なん、で……今更、そんなこと言うの……」
廉の温もりが、廉の香りが、廉が私を抱き締める腕の強さが―――
私の廉への恋心を思い出させる。
今も、廉を好きな気持ちは消えずにあるから、それは簡単に私の奥底から溢れ出して……心が廉を求めようとする。
でも。
こんな私を愛して傍にいてくれる晴哉を思ったら……気持ちにストップをかけてしまう。
もう廉のところには、戻れない―――
そう思いながらも廉の腕を振り払えないまま、廉の腕の中で涙を流すことしか出来ずに……どれくらいの時間がたったのか。
「紗和が“今更”だと思うのは……アイツが原因?」