WITH
「お前……、前会った金髪のヤツ?」
ピン――と張り詰めた空気を見事に破ったのは、廉の落ち着いた静かな声。
「……そうですね。金髪の時、真冬に一度会いました……」
「あの時の宣言通り、紗和を“自分のモノ”にしたわけだ?」
そっと晴哉から離れて、二人の様子を見つめると。
さっきまでの表情とは打って変わり、無表情なものへとすり替えられた廉の視線は、真っ直ぐに晴哉へと注がれている。
「ちゃんと、紗和ちゃんの同意の上ですから……
それよりも。今更、紗和ちゃんに何の用ですか?」
緊迫した雰囲気を見守る……というより、私はただただ傍観しているのが精一杯だった。
二人の交わす言葉よりも、私には廉を思う気持ちと晴哉を思う気持ちが混在している……自分でもどう処理していいかわからない気持ちに、意識が向けられていた。
「俺に、紗和を返してほしい―――」