WITH


携帯のサブディスプレイに表示された名前は、

…………………『岡野 啓祐』。


私は、一瞬で緊張に囚われて。

それでも……

震える指先で、通話ボタンを押した。




『あ、紗和?
……今、ホテルに戻ってるところだから、ロビーで待ってて』




一方的に言葉を残して切れてしまった電話からは、無機質な音が聞こえる。


暫し、その音に呆然となりながらも。

気付けば、酔い潰れてしまったなっちゃんを急かし、ロビーへと向かっていた。



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