WITH
見上げた先には、
未だ無表情な顔をした廉がいて。
俯きそうになりながらも、
ちゃんと廉を見据えた。
徐々に心臓が早鐘のように動き出して、呼吸さえも苦しくなるのに……
もう、廉から視線を逸らすことが出来なくなっていた。
「紗和、……ゴメンッ!!」
急に勢いよく頭を下げて、
なぜか私に謝り出した廉。
長めのキレイな茶色の髪が、
重力に逆らうことなくサラサラと地面の方へ流れていく。
「……っ、急に……どうしたの?」
廉の行動の意味がわからず目を瞬かせながらも、ただただ廉を見つめる。
ゆっくりと窺うように顔を上げた廉は、申し訳なさそうに私を見つつ、ゆっくりと話し出した。