WITH
「俺、『紗和は、タンポポみたいだ』って言ったんだよな。
『紗和は、タンポポみたいに強いヤツだから……俺が傍にいなくても大丈夫だよな?』……って」
もう思い出さないようにと、
ギュッと目を閉じれば。
容赦なく瞼の裏に浮かんでくるのは、あの日の私と廉……
まさかもう一度、廉の口から同じ言葉を聞くとは思ってなかった。
何一つ思い出したくないのに、
廉の声で語られる“あの日”が苦痛で……
これ以上、廉に何を言われるのかと考えると、
堪らなく怖かった――…
「紗和……?
頼むから、ちゃんと聞いてて?
思い出したくないかもしれないけど……」