WITH




「俺、『紗和は、タンポポみたいだ』って言ったんだよな。

『紗和は、タンポポみたいに強いヤツだから……俺が傍にいなくても大丈夫だよな?』……って」




もう思い出さないようにと、
ギュッと目を閉じれば。

容赦なく瞼の裏に浮かんでくるのは、あの日の私と廉……


まさかもう一度、廉の口から同じ言葉を聞くとは思ってなかった。



何一つ思い出したくないのに、
廉の声で語られる“あの日”が苦痛で……

これ以上、廉に何を言われるのかと考えると、

堪らなく怖かった――…




「紗和……?
頼むから、ちゃんと聞いてて?
思い出したくないかもしれないけど……」




< 44 / 350 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop