WITH
「廉が傍にいてくれないから、
弱く……なっちゃったのかも、ね?」
廉のスーツの袖口を握り、
真っ直ぐに廉を見つめてそう言ってしまった時にはもう、
“廉に見切りをつけに来た”
……なんてことは、頭の中に微塵もなくて。
すぐ傍にいる廉が、
あの頃のように私の傍にいてくれたらいいのに……
そんな思いが、
私の思考すべてを占めていた。
「さ、わ……?」
私の顔を覗き込んだままの廉と、
廉を見つめる私。
至近距離で絡み合う視線。
それをいとも簡単に解かせたのは……
突然鳴り響いた、
廉の携帯電話だった――…