WITH
廉が追いかけてきてくれることも、呼び止められることもなくて……
私は、ただただ逃げるように街中を走り続けた。
廉の幸せな姿を見れば忘れられるなんて、安易な発想。
生身の廉に会って、
益々恋しくなって……
欲してしまった私は、
あの頃から何も成長していない。
同窓会になんて、来なければよかった……
走り続ける私は、
バランスを崩してその場に倒れ込んでしまった。
転んだ拍子に地面についた両手が擦れて、血が滲んでいた。
起き上がり座り込んだままでよくよく見れば、ヒールの折れてしまったハイヒール。
それは、私の折れてしまった心のように見えて……
押し殺すことなく、
声を上げて泣いた。
週末の市街地。
行き交う人々が好奇の目で見ていようと、そんなものに構っていられないくらい。
私は今もなお、
廉を求め続けていた――…