WITH
「俺……紗和に会えないなんて、耐えられないんだけど?」
嬉しい言葉が聞こえたあと、ふんわりと心地好い温もりと共に廉の香りに包まれる。
ドキドキと更に高鳴るばかりの心臓と、真っ赤になっているであろう私の顔。
これは……どういうこと?
廉も、私と同じ気持ちだって……期待してもいいってこと???
“廉に抱き締められてる”ってことはわかるけど、なんて答えればいいのか……とか、私も抱き締め返していいのか……とか。
いっぱいいっぱいの頭は、パンク寸前。
「おーい……紗和ちゃん?聞こえてるか???」
「う、うん……」
頭上から聞こえる廉の声は、いつも通りで。
私ばっかりドキドキしてるなんてバレたくなくて、なんでもないフリをしてしまう。