WITH
暑さのせいじゃない……
目の前が真っ暗になって、背中に冷たいものが流れるのを感じながら、なんとか立っている状態。
一体誰が、こんなものポストに入れているの?
グッと両足に力を入れて膝の震えを押さえ込んで、一気に冷めてしまった表情も感情もそのままに、私は封筒をじっと見据えた。
こんなものに、怖気づいちゃいけない―――
私は、何十本もの縫い針が入ったままの封筒に便箋を戻し、バッグの奥深くに沈めて歩き出した。
駅前付近まで来ると、道路の向こう側、行き交う人の中に廉の姿が見えて、ホッとする自分がいた。
横断歩道の前、信号待ちをするのも待ち遠しいくらい、早く廉に会いたくて。
信号が青になるのを、今か今かと待っている時―――