WITH
目を覚ますと、私は見慣れない部屋のベッドに寝かされていた。
微かに消毒薬のの匂いがして……すぐに、ココが病院だとわかった。
「紗和、気付いたの……?」
「お母さん?私……痛っ」
私の左側に、心配そうな顔をしたお母さんがいて、なんで病院なんかにいるのか聞こうと体を動かした瞬間、右手に激痛が走った。
「まだ、安静にしてなさいっ!
あなた、車にはねられたのよ?
右腕骨折だけで済んだからよかったものの……なんで道路に飛び出したの!?」
「はねられた……?」
薄っすらと思い出せたのは、背中を押されたことと薄れる意識の中で聞いた廉の声……
「お母さん……私、道路になんか飛び出してない。誰かに突き飛ばされたの……」