WITH
恋風
* * * * *
翌日。
検査も異常なく退院した私に、廉は家まで会いに来てくれていた。
部屋に通して二人っきりになっても、廉の表情は硬いまま。
「昨日はごめんね?病院まで付き添ってくれて、ありがとう」
「………ん」
それ以上会話も進まず……
しばらくの沈黙のあと、口を開いたのは廉だった。
「なんで、手紙のこと黙ってた?」
「え……?」
「おばさんに聞いた。
こんな脅迫まがいの手紙……なんで俺に何も言わないで、一人で抱え込んでたんだよ?」
「黙っていてって頼んだのに……」
「はぁー…」と聞こえる溜め息は、廉のもので。
お母さんが心配して廉に伝えたんだとわかっていても、廉にだけは知られたくなかった私は、そのまま黙り込んでしまう。