カノジョの死因、他殺。
「でも、あの事件で佐伯、軽い記憶喪失になったらしくてさ、葉山さんの記憶だけスッポリ無くなってんの」
・・・・・・え。
そんなドラマみたいな事って、現実に起こるの??
しかも、吉田さんのビックリ発言はまだ続きがあった。
「でも、それが不幸中の幸い」
「・・・・・どーゆー事ですか??」
記憶が無くなって良かったって・・・・・なんで??
「葉山さん、河野と浮気してたんだよ」
「・・・・河野??」
『アレ』吉田さんが指差す方向には、ショートボブにパンツでスニーカーの佐伯さんとは正反対の、長い髪をキレイに巻いて、ヒラヒラのスカートにヒールの高い靴を履いた、自分が女の子である事を存分に楽しんでいるかの様な、可愛い女性がいた。
「・・・・まぁ、葉山さんの気持ちは分かるよな」
「イヤイヤイヤ、ダメでしょ。 彼女いるのに浮気しちゃ。 しかも、彼女の同僚とか、絶対やっちゃダメでしょ」
でも、確かに不幸中の幸いだ。
自分の同僚に彼氏を取られるって・・・・・辛いもん。 絶対。
「でもさー、あんな顔してあのおっぱいだよ?? 男だったらそりゃフラっとそっち行っちゃうわな」
吉田さんの言うとおり、河野さんはかなりの巨乳だ。
「それに、佐伯も佐伯で名波さんと怪しかったし」
・・・・・・え??
「名波さんの佐伯への溺愛ぶり、異常だと思わん??」
「・・・・名波さんって結婚・・・・」
「してるよ」
吉田さんは『人は見かけによらないよなー』と言いながら、自分のデスクに戻って行った。
・・・・・佐伯さんが名波さんと、不倫・・・・??