カノジョの死因、他殺。




「佐伯は1人っ子で、母親は病気で佐伯が幼い頃に死んだから、佐伯はずっと父親と2人で暮らしてたんだ。 で、父親が逮捕されたのが、佐伯が高1の頃。 佐伯は父親の事大好きだったし、父親は犯人じゃないって信じてた。 ・・・・でも」






「でも??」







「あの時の佐伯は高1の多感な時期だった。 当時、友達もみんな佐伯から離れって行ったし、付き合っていた彼氏も佐伯の元から逃げって行った。
・・・・・辛かっただろうな。 佐伯、面会の時に父親に怒鳴ったらしい。 『みんなお父さんのせいだ。 何も悪い事してなくたって、疑われるような事はしたんじゃないの!?』って」






佐伯さんの気持ちが分からなくはない。






だって、周りに誰もいなくなって、怒りをぶつけられる人なんて、父親しかいなかっただろうから。






「佐伯は次の日には後悔して、父親に謝りに行こうとしたんだよ。 でも、その日、佐伯の父親は自殺したんだ。 『みなみ、本当にごめんなさい』ってメモだけ書いて」







「・・・・・・・」








オレは呼吸出来ているだろうか。







言葉も出ないし







唾液さえも飲み込めない。
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