カノジョの死因、他殺。





「『ジャーナリストになって、戦場に行く』って言い出してさ」






「・・・・・・はぁ?!!」






やっと出た声は、裏返った気持ちの悪い声だった。






「佐伯、事件の時、暴行されながら抵抗しなかったんだよ」






「・・・・・・なんで??」






「佐伯、『ワタシは自殺も病死も事故死もしない。 ワタシがお父さん殺したみたいに、誰かに苦しめられながら殺されたい』って言ってた事があってさ」





目頭が熱くなった。





怒りに似た悲しみ。 






名波さんの話は他人事なのに、こんなにも苦しい。






当の本人の佐伯さんはどんだけ苦しいんだろう。







きっと想像なんて出来ない。









オレの想像なんて、軽く跨げてしまうほど絶しているのだろう。
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