カノジョの死因、他殺。
ボクのカノジョの浮気相手。
「・・・・・電話してもシカトされるから、来た」
シゴトを終えてアパートに帰えると、部屋の前で健人が待っていた。
「・・・・・ストーカーかよ」
ドアの真ん前に立ちはだかる健人を軽く退かして鍵を開けると、招き入れてもないのに健人が勝手に上がり込んで来た。
「・・・・・何か、とっ散らかってるな」
いつもは亜美が掃除をしてくれていたけれど、全く会っていなかったから部屋も汚れた。
健人はテーブルの上を片しながら、コンビニで買って来たと思われる弁当やらビールやらつまみやらを並べ始めた。
どうやら、長話をする気満々らしい。
『ホイ』健人はオレにビールを手渡すと、『お疲れ』と、自分が持っていたビールの缶をぶつけ、ソファーに腰を掛けた。
ビールを1口飲んだ健人が
「とりあえず、ごめん」
本題に入った。
「・・・・・・・」
正直なところ、亜美と健人をシカトしていたのは、怒りで顔も見たくないって理由ではない。
どっちかっていうと『浮気をされた』事より『裏切られた』という事が許せない・・・・と言うか、ショックだった。
裏切りの事実を知って、頭に血が昇るというよりは、血の気が引いた。
興冷めした。
もういいから、その色恋沙汰から1抜けさせてくれないか??とさえ思う。
なんか、もうどうでもいい。