カノジョの死因、他殺。
佐伯さんの電話を切って、早速メールBOXを開く。
佐伯さんのメールは、そのまま記事に出来そうなほど完璧だった。
このまま載せてしまった方が良い気がするけれど
それじゃあ多分、佐伯さんは喜ばないだろう。
自分なりの記事を考えに考える。
佐伯さんが好きだと言ってくれた、オレらしい文章を一心不乱に打ち込む。
没頭しすぎて、オフィスに自分以外誰もいなくなっている事に気がつかなかった。
え?? 今何時?? みんないつ帰ったの??
時計を見ると、22時を回っていた。
ヤバイ!! 間に合わない!!
----プルルルルル
会社の電話が鳴った。
「はい」
『菊池くん?? まだいるって事は記事、まだ印刷かかってないんだね』
佐伯さんだった。
「すいません、佐伯さん!! オレ、シゴト遅くて・・・・・精一杯やったんですけど・・・・イヤ、言い訳です。 本当にすいません。 佐伯さんが辛い思いしてまで取ってきたスクープなのに・・・・」
情けない。 自分がほとほと嫌になる。
『イヤ。 ワタシが無理言ったんだから謝んないで。 でも、ちょっと無理して貰えないかな?? さっき、印刷所の人に24時まで待ってもらえる様に頼んだから』
それなら間に合う。
「佐伯さん、ホントすいません!! ありがとうございます!! 絶対明日の誌面に載せますから!!」
『うん。 ごめんね。 ありがとう』
佐伯さんは、自分は何も悪くないのにいつでも謝る。