WildCard
別れと出会い
あれから普通の毎日を送っていた。

好きなテレビを見て
たまには兄弟で喧嘩して
母から毎回怒られていた。

父がいるときは、墨刀で頭を殴られた事もあるのだが
痛みで失神していて何が起きたのか分からないまま
眠っていた。

私の上に兄と姉がいて
私は末っ子という事もあり
何かと甘やかされていたような気がする。

いつも通りの毎日
あの夜の事はすっかり忘れていた。

それから数週間たって父がいない夜
母に起こされて、夢うつつのまま手を
引かれて、目が覚めると船の中にいた。

母に訪ねてみた
「どこにいくの?」と
母はおばあちゃんの家に遊びに行くと
答え、船の外を見ておいでとも言った。

私は船外に出る為に扉を開けた。

潮の匂いと機械オイルの匂い
正直苦手な匂いだ。

でも、目に写る景色に感動した。

何もない青の世界。

初めて世界の広さが感じとれた
瞬間だった。

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